抜群のセンスを持つ知能犯:Pollen Street Social@ロンドン

ロンドンは食の不毛地帯である、と言われたのも今は昔。もはや食の激戦区と呼んでも差し支えないセントラルに、オープン以来高評価をキープし続けるスーパー優等生なお店があります。

その名は Pollen Street Social。
何かと話題の敏腕シェフ、Jason Athertonの手がける代表店です。彼が、泣く子も黙るGordon Ramsey グループを抜けて立ち上げた、彼自身のフラッグシップ。どれだけ気合が入っているのかゾワゾワしてきます。
このお店はロンドン駐在の日本人からの評判も高く、ずっと行きたいお店リストの上位にあったのですが、いかんせん「特別な日に行くにはちょっとカジュアル」、「普段使いするにはちょっと敷居が高め」なイメージで、なかなか利用できずにおりました。
いざ着席してみると、予想していたよりもずっとフォーマルな雰囲気。恐らく照明によるとことろが大きいのでしょうが、とってもムーディーです。他のゲストもきちんとドレスアップしている方がほとんど。
確かに価格帯は、テイスティング6コースのメニュー£95と、どちらかというと高級レストラン。
今回は時間が遅かったこともあり、アラカルトでいただきました。
ブレナムパレスのスパークリングウォーター。
Afternoon tea とメニューにあったので何だろうと思っていたら、こんな可愛いコンプリメンタリーが。
(でもこのタイミングでコナモノでお腹をいっぱいにしたくない私にはちと辛い)
キノコを使ったスープ。すごく深みのある出汁が出ていて、内臓に染み渡るよう。
ホイップバター、美味しいです。
私はカニを使った前菜を。
カニの身の豊かな風味を活かすシンプルな調理と、それにアクセントをそえるサクサクしたフライと濃厚なソースの組み合わせがバランスよし。
冬だったので、季節感のあるベニゾン(鹿)を。こちらのベニゾンは本当に美味しい!臭みがなくて、さっぱりしと身がしまっていて、お肉そのものの濃厚な味が楽しめます。

肝心のお料理は、期待が高すぎたのか、良くも悪くも無難な印象に止まりました。お肉もソースも柔らかくて食べやすいのはいいのですが、せっかくのベニゾン、ほんのひとさじだけ冒険して、何かアクセントが欲しかった。(焼き加減とか、スパイスとか)
ナイフとナイフレストがかっこいい。
ソムリエさんにワインを選んでいただきます。
調子にのってチーズも。濃厚なウォッシュ系を中心に、イギリスならではのスティルトンもいただきます。
添えられてくるクラッカーもおしゃれ。
最後はお店イチオシのスフレでシメ!バナナスフレにラムレーズンのアイスクリーム。これが期待を上回る美味しさで、大満足。
食後にミントティーを頼んだら、すごい大仰なワゴンで持ってきてくれました。目の前でハーブをちぎって、好みを尋ねながらブレンドしてくれます。

正直このサービスが最も印象に残っているかも。デザートワゴンはしばしば目にすることあれど、ハーブティーワゴンて!しかもサーブしてくれたお兄さんがまたイケメンでにこやか。満腹になってしまった後にもこんな楽しい演出があるのは嬉しい驚きです。
プティフールは、サビサビのレトロな缶に入ってやってきました。口どけのよいフルーティーなゼリーです。
焼き菓子の方はお腹がいっぱいすぎて食べられなかった 泣
エントランス近くのウェイティングバー。スタイリッシュでかっこいいインテリアでした。照明が落としてあるのも印象的だったかも。
スタッフの意識も高く、「我々はミシュランつきの有名レストランなんだ」という威厳と品格のようなものを感じました。

ただ、洗練された内装、サービス、演出とは対照的に、肝心のお料理は一歩遅れてついてきているなという印象でした。もちろん今回のメニューのチョイスのせいもあるのでしょうが、全てを通して「無難」でした。

ミシュランや各賞で上位に食い込む優良店は、そもそも「とがったもの」「120点」なんて狙っていないのかもしれませんが、もう少しだけシェフやレストランの個性や主張が伝わる「あとひとひねり」があってもよかったかなと思います。

裏を返せば、絶対に外したくない日のロンドンらしいディナーにはもってこい。大切な知り合いを連れて行ってもてなしたり、恋人との記念日ディナーに使ったりと、絶大な信頼のおける使い勝手のいい店であることは確かです。


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ココロ✖️グルメ 心理士の食べ歩き日記

美味しい、だけじゃ満足できない。わがまま食いしん坊のアラサー臨床心理士が、世界中の美味しいものを求めて食べ歩くブログ。東京・ロンドン中心です。