記憶に残る率直なフレンチ:Seven Park Place@London

ロンドン随一の高級住宅街として知られるメイフェアには、由緒あるホテルが隠れ家のように点在しています。
ここSt.James hotelもそのひとつ。Green Parkの駅からほど近いこじんまりしたホテルで、会員制クラブとミシュラン一つ星のレストラン Seven Park Placeを併設しています。

Seven Park Place はわりと若いモダンフレンチレストランで、2009年のオープンから1年と経たずに星を獲得、現在も維持しています。ヘッドシェフはイギリス出身のWilliam Drabble。ミシュラン星つきホテルやレストランで経験を積んだのち、このホテルのメインダイニングのトップに就任しました。
レストランはバーの奥にあります。カウンターのお客様と壁の隙間を縫って先へと進みます。「こんなに狭いところを?」というのが正直な第一印象。ミシュランの星の数はレストランのレイアウトも影響すると聞きますが、こちらが1つ星にとどまっているのは、内装のせいもあるのかもしれません。
席数はひとつひとつ区切ってあるものが多く、解放感はありませんがなんだか特別な密会のような雰囲気。内装(特に壁紙)は主張強めで、至近距離に迫っているのでかなりパンチがあります。

ソワソワしながらメニューを選び、肝心のお料理を待ちます。
バター三種。パンはドライフルーツの入っているものをいただきました。存在感があって美味しい。
スモークサーモンとビートルート。めちゃくゃシンプルですが、サーモンのクオリティは格別。香り豊かでとろける柔らかさ。ディルのソースが少量でも効いてます。
メインに選んだロブスター。これが、このお店のいちばん忘れられない一皿です。

お皿に乗っているのは、ロブスターとカリフラワーとマッシュポテト、ソースのみ。
けれどこの主役のロブスターの身が、本当に驚くほど美味しいのです。まず食感がすごい。ぷりぷりの弾力があってとてもジューシーです。そして味。おそらく頭や殻からとったスープでソースを作っているのだと思いますが、深みがあって塩加減も絶妙。再訪したらリピートしたいお料理です。
友人のオーダーした熟成肉のロースト。こちらも主役であるお肉以外、余分なものは極力排除されています。でもやっぱりこのお肉がちゃんと美味しい。いい素材と、その美味しさを最大限引き出そうとする素直な姿勢が感じられます。
ユニークなソースや、奇抜な食材の組み合わせでオリジナリティを競うシェフが多いなか、こちらのシェフは直球勝負だと感じました。

デザートも期待していたのですが、こちらのパティシエはまた全然違うタイプなのか、お料理とは180度異なる趣向のものが出てきました。

まずプレデザート。パイナップルのチーズケーキとココナツシャーベット。これは普通です。
メインデザート。青リンゴのムースにライムのシャーベット、周りにはブラックベリーとそのゼリー。これは、色々な味の組み合わせが楽しいと言えば楽しいのですが、それぞれの相性はあまり推敲されていない印象でした。
これは友人のデザート。ピスタチオのジェラートと、まわりが何かのフルーツのソース、上に薄いパイ生地が乗っています。
友人は首を傾げながら口に運んでいました。
テーブル近景。


デザートが済んだタイミングで、どーんとギモーヴが。好きなだけどうぞ、と笑顔でサーブされます。
プチフール。お腹いっぱいですが、2人で手分けして味見。どれも完成度高いです。(やはりデザートだけが疑問)
レストルーム。ミネラルウォーター(スティル、スパークリングそれぞれ)が置いてあるのは流石です。あまり見かけません。

振り返ると、やはりメインのお料理が美味しかったという印象です。こちらのレストランは「ポイントを極める」ことについて、よく理解していると思います。例えばお料理。コースのハイライトであるメインのお皿の完成度を高め、主役にとことんこだわり、スポットライトをあてています。
そのせいで、他のお皿が多少バランス悪くても「またあれを食べたいな」と思うリピーターを獲得しているはず。

お客様の記憶に残る、ちゃんと刺さる料理が作れるシェフだと思います。今後その完成度の高さがすべてのお皿において現れてくることを心から楽しみにしています。
数年後にまた再訪してみたいレストランです。

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ココロ✖️グルメ 心理士の食べ歩き日記

美味しい、だけじゃ満足できない。わがまま食いしん坊のアラサー臨床心理士が、世界中の美味しいものを求めて食べ歩くブログ。東京・ロンドン中心です。